足利市医師会 青木 公平 会長

在宅診療向けグループ化

足利市医師会は在宅医療を拡充するため各種の試みを始めた。
また、県南地域の3次救急の拠点となる新しい足利赤十字病院が完成。
地域の医師会が果たす役割が大きくなる中、青木公平会長は市民とともに歩む会づくりを目指す。

青木公平会長
新たに休日夜間急患診療所
■足利市医師会の活動内容などをご紹介ください。

 足利市医師会は、平成23年12月現在、医療機関110、会員数は191人(開設会員109人、勤務会員74人、その他会員8人)で構成されています。
 活動の内容としては、地域住民が安心して暮らすことができるよう、インフルエンザ、ポリオワクチンその他各種予防接種、乳幼児健診、また特定健診および保健指導、がん検診その他各種健診業務に取り組んでいます。そのほか、産業医として職場健診および健康相談、学校医として健康診断、健康相談、心臓、腎臓検診業務、スポーツ医として各種イベントの医療班、介護保険制度の運営、障害者自立支援法に基づく審査など、多くの面で住民の皆さんの健康管理に携わっています。
 また、医師会として医師会付属准看護学校を運営し、地域の看護スタッフの充足に努めています。医の原点である救急診療に関しては、足利赤十字病院が新しくオープンしましたので、それまでの休日診療所と小児夜間救急を統合して「足利市休日夜間急患診療所」として同病院に併設し、小児科と内科の1次救急を市の委託事業として運営しています。これによって2次、3次救急医療施設である足利赤十字病院が、本来の任務に専念できる環境が整ったと考えています。

多職種連携で受け入れ
■医療面から見た地域の課題はありますか。

 足利赤十字病院は地域の医療を応援する地域医療支援病院になりました。紹介患者さんを中心に診ることが原則で、専門的な治療を行う3次救急の医療機関です。そこから退院した時、2次の病院や在宅、介護施設なども含めて、受け入れ体制をいかに構築するかが、医師会としても課題になっています。それには多職種がチームを組んで連携していかなければなりません。われわれ会員は研鑚を重ねて質の向上を図っていく必要があり、その努力をしているところです。医療連携は顔を合わせるところから始まりますから、定期的に会議を開くなどの取り組みを進めています。せっかくできた足利赤十字病院を有効的に活用しなくてはなりません。

足利市医師会事務局
■地域の健康の状況はどのように見えますか。

 足利市の人口構成は、高齢者比率が平成23年10月時点で25・3%と、超高齢社会となっています。加齢とともに増加するさまざまな精神的、身体的障害にいかに対処するかが、現在・将来にわたる大きな課題です。今後、ますます少子化が加速し、若い世代が減少する環境の中で医療保険および介護保険の運営面でも大切な問題点です。

地域住民の協力が不可欠
■地域医療について市民向けに取り組んでいることはありますか。

 毎年1、2回は市民公開講座を開いています。限られた医療資源を効率的に使い、望ましい医療環境をつくるには、市民の皆さんの意識改革と協力、参加が欠かせません。重複受診や最初に直接大病院を受診しがちな問題など、医療のかかり方などについても改善をお願いしながら、われわれとしてもできることに取り組んでいることを伝えていかなくてはと思っています。市民の皆さんには、医療機関と一緒に地域医療の拡充のためにぜひ汗を流してほしいと思います。

足利市医師会主催による「市民公開講座」
■今後、医師会として考えている方向性はありますか。

 在宅医療の拡充のために、複数の医師によるグループ診療の模索を始めています。さらに訪問看護ステーションとの連携を密にして、在宅患者や家族が安心して暮らせる環境を整えたいと考えています。また、介護施設との連携拡充も欠かせません。このような取り組みは住民の皆さんの協力がないと進展しませんので、機会をつくって呼びかけていきたいと思っています。もう一つ、クリティカルパスには、症状によって、ある程度医療の質を均一化できるのではないかと期待しています。

自分の健康に関心を持って
■健康づくりに関して呼びかけたいことはありますか。

 やはり日ごろからかかりつけ医を持っていただくことですね。その上で必要な場合には紹介してもらって専門医に診てもらう。もう一つは自分の健康は自分で守るという原則に立って、日ごろから健康に関心を持っていただくこと。われわれ医療を提供する側と受ける側が正しい知識と意識を持っていることが必要だと思います。
 会員の医師たちは、休日夜間急患診療所にも、仕事が終わってから、あるいは休みを返上して献身的に取り組んでいます。地域で医療を行う限り、われわれの役割ではありますが、市民の皆さんにももう少し理解を深めていただければと思います。日本の国民皆保険制度は世界に冠たる制度ですが、逆にいつでもどこでもかかれるということで、コンビニ受診の問題も起きています。そのあたりにも注意を払っていただければと思いますね。

■そのほか何かあるでしょうか。

 私は精神科の医師で、栃木県の精神医学会長をやっています。いわゆる五疾病に精神科が入ることになって、今、精神科救急が課題になっています。精神科の患者さんが、ほかの病気になった時の受け入れがなかなか難しいといわれているのです。今後、さらに増えてくる認知症も精神疾患に入っていますので、対応を急がなければなりません。自殺の問題も含め、精神科の病気はある程度、生活習慣と関係がありますので、それらを見直すことによって予防に取り組んでいく必要があります。
 それから足利も含め、栃木県全体に健診の受診率が低いのです。市民の皆さんにはもっと積極的に受診してほしい。医療への関心を高めてほしいと思います。また、大切な子どもの健康を守るため、ワクチン接種によって防ぎうる疾患に対し、接種の公費助成を拡充すべきと思います。医師会と行政が一体となって取り組むべき課題と認識しています。

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