小山地区医師会 松岡 淳一 会長

全員参加で医師会支える

比較的歴史の新しい小山地区医師会。
松岡淳一会長は、医師会の特徴として、全員参加による医療活動を進めていることを挙げる。市民目線に立ちながら県南地区の医療再生に力を尽くす。

松岡淳一会長
認知症サポーター運動
■小山地区医師会の概要をご紹介いただけますか。

 会員は240人余りです。エリアは小山市、下野市、上三川町、野木町です。われわれの医師会は比較的新しいので、全員参加型ということを念頭において運営を進めています。各人が何らかの委員会に所属して会を支えています。
 その上で市民との距離感をいかに縮めていくかということを、第一に考えています。市民の目線に立って、お互いに協力してこの地区の健康を守っていくというのが基本的な原則です。
 講座などを積極的に開催しているほか、数年前から特に力を入れているのが「認知症サポーター運動」です。高齢化社会が進み、認知症の人が増えている現状を踏まえて、地域で支えていこうというものです。医療関係者や介護関係者、行政に加えて、一定のカリキュラムを受講した一般市民の認知症サポーターが参加するチームを数多くつくる。そうして町内会など地域全体で見守るのです。これまで専門家についてはある程度組織化できたのですが、一般市民のサポーターづくりがなかなか難しく、現在、がんばっているところです。認知症サポーターベルトを作って、これを持っている人にはいつでも相談してくださいという印にしました。現在、300人くらいが登録しています。

■理解は進んでいるとお感じですか。

 そう思います。やはり自分たちの問題でもあるとの認識が深まっているのでしょうね。

小山市保健センター分館
独法による新病院目指す
■そのほかの取り組みはいかがですか。

 他の医師会同様、予防注射や学校医などの活動は、当然、行っています。講演活動では独自の内容を取り上げ、医師が市民を教育したり、啓発するだけでなく、一緒に参加して健康に対してのモチベーションをつくるという方向性で取り組んでいます。例えば行政と協力して、小山市民健康フェスティバルを開催していますが、そこでは体力測定や食育のための料理教室、介護問題などを取り上げています。これはかなり人気が高く、毎年、1000人から1500人の参加者がいます。通常の講演会でも私たちが素人演劇をやって笑わせた後、専門家に講演してもらう。楽しく学んでもらえればと思っています。

■課題となっていることを挙げていただくとすると。

 最も大きいのは県南地区の医療再生の問題ですね。ご存じのように再生のための資金が出ましたので、これをどのように活用するか。われわれとしては小山市民病院を地方独立法人にして、老朽化した建物を移転新築し、中核病院とすることを目指しています。
 また、この地域の特徴として、県境にあるため茨城県西の患者さんが流入して混合状態になっています。周産期の医療など、かなり多くの人たちが栃木県に来ています。自治医科大学附属病院、獨協医科大学病院が近く、そちらで受診する傾向が強いため、もともとこの地区は周産期医療が弱いのです。計画している小山市民病院では、周産期の医療もきちんと捉え直そうと考えています。

講演会などの活動にも力を入れている
食生活のコンビニ化
■健康面からみた住民の地域性をお感じなりますか。

 この地域にも栃木県がワースト1になっている高血圧が非常に多いのです。食生活が絡んでいることは確かだと思いますが、それだけではないような気もします。ここは新幹線で首都圏へ通勤する人が多いので、あるいはそういう状況の中で、単に塩分の取りすぎということだけではなく、食生活のコンビニ化のようなことが進んでいるのかもしれません。糖尿病も非常に増える傾向にあります。

■改善に向けての方策をどのようにお考えですか。

 制度の面では栃木県医師会で取り組んでいるクリティカルパスに期待しています。予防医学という面からは、小山市では独自のさまざまな取り組みが行われています。例えば行政を中心にやっている「元気あっぷ体操」は、かなり普及が進んでいます。体操をやりながら体力を測定するという〝出前〟の活動も各地区で展開しています。その中で見つかった問題のある人を医師が診察する方法を取っています。

有限な医療資源を大切に
■今後、医師会として考えていることはありますか。

 市民とわれわれが医療についてどれだけ意識を共有できるかが鍵になります。残念ながら一部の人たちは医療に寄りかかりすぎていると思います。自分で自分を守る気持ちを持ってほしい。そしてそれをサポートするのがわれわれの仕事ということになると思うのです。医療資源には限界があって、一般市民も参加してくれないと資源自体が枯渇してしまうことを訴えていきたいですね。
 3年前に市民病院の一角を借りて本格的に夜間休日急患センターを立ち上げました。それまではほとんどが自治医科大学附属病院や小山市民病院に行っていたわけですが、センターで年間9000人くらいを診ることができるようになりました。こうしたことがなぜ実現できたかといえば、先ほど申し上げた全員参加の体制があったからです。開業医が輪番制で詰めている形ですが、先生方にはかなり無理をお願いしている面もあります。

■健康面で市民に何か訴えたいことはありますか。

 まずは身近に自分のかかりつけ医を持つことだと思いますね。そのかかりつけ医が中核病院と病診連携をきちんと行っていく。自分のところで抱え込むのでなく、不得意な部分やさらに高度な医療が必要な場合は、病院の方に行っていただいて、よくなったら戻してもらう逆紹介の率を上げたいと思っています。
 そうした面でも小山市民病院がうまく機能してほしいと思います。県南の医療再生という点に関しては、総会などでも会員全体の意見の一致をみていますので、医師会でも精一杯支えていくつもりです。

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