佐野市医師会 林 一宣 会長

医師会自ら事業手がける

佐野市医師会は前身の団体から数えれば100年以上の歴史を持つ。
医師会立の病院など、会自らさまざまな事業を手がけ、地域住民の健康の守り手となってきた。林一宣会長は「和」の精神が会の運営を支えていると語る。

林一宣会長
地域に根差した幅広い活動
■佐野市医師会の活動の状況をご紹介ください。

 佐野市医師会の前身になる団体は明治42年に設立され、先ごろ100周年の記念式典や記念事業をやらせていただきました。「和」をもって運営するというのが、私たちの医師会の伝統になっています。会員は約150人。開業医と勤務医がほぼ半々です。診療所は平成23年11月現在で75軒あります。特殊なものとしては、国民健康保険の直轄の診療所が佐野市内に5カ所あります。
 医師会として多数の事業を手がけているのも大きな特徴です。附属の佐野医師会病院、佐野休日・夜間緊急診療所のほか、准看護学校を経営して看護師の養成も行っています。准看護学校は県内ではやめるところが多くなっているのですが、何とかがんばって運営しています。訪問看護ステーションも平成7年にいち早く設立し、平成11年からは24時間体制で運営しています。さらに従来の在宅介護支援センターを発展させて、平成22年4月、地域包括支援センター佐野市医師会を立ち上げました。医師会立としては珍しいと思います。
 他の郡市医師会と同様に、学校での心臓検診や腎臓検診、教職員の結核検診などのほか、股関節の検診も手がけています。行政とタイアップしての乳児健診やがん検診、住民健診などにも取り組んでいます

健診受診率向上に奮闘
■それだけ幅広い事業を手がけていると、運営もなかなか大変ですね。

 やはり「和」ということですね。規模的に集まりやすい人数であることと、地域的にもさほど広くありませんので、毎月1回、会員の皆さんに集まっていただいて例会を開いています。
毎回30〜40人くらいの出席があって、昼食を食べながら情報交換をしています。

佐野医師会病院
■課題は何かありますか。

 現在は佐野厚生総合病院が2次救急を一手に引き受けている状態です。また、救急告示病院がほかに市内に1軒だけで、そこもスタッフが十分ではありません。そこで、診療所の機能を充実させようということで、休日・夜間緊急診療所では、平成17年から、内科と外科に加えて、日曜祝日の昼間、小児科専門医が診る体制ができました。これによって佐野厚生総合病院に行く小児科の患者が減りました。
 救急車受け入れの問題は、会員に協力を呼びかけて、告示機関ではなくても30数軒の会員が軽症の救急車を引き受けてくれています。年間では300件くらいの件数になります。また、休日診療所でも平成23年7月から、一部受け入れを始めました。今後、さらに充実させていきたいと思っています。
 健康面の課題を言えば、住民の特定健診の受診率が低いのです。行政と一緒に広報活動はやっているのですが、なかなか効果が出ません。それと、佐野市は結核の罹患率が高いのです。全国平均が人口10万人当たり18人くらいなのですが、平成21年度、佐野市は32人でした。安足健康福祉センターでもいろいろと調査をしているのですが、原因がいまひとつよく分からない状況です。さらに調査を進めて関係機関で対策を講じていきたいと思っています。結核はまだまだ怖い病気ですからね。

健康大学や講演会を開催
■市民への呼びかけはいかがですか。

 市民向けに健康大学を開催して、病気の怖さや治療・予防の重要性を訴えています。継続することが大切なので地道に続けています。最近、市民のための講演会を始めて、平成23年には6回にわたって開催しました。テーマは子宮頸がんワクチン、インフルエンザ、認知症など。東日本大震災の被災地のお医者さんに来てもらっての講演会も行いました。このようにいろいろやっているのですが、市民の出席がいまひとつです。健診受診率の低さとも関係しているのでしょうか。実績を積み重ねれば徐々に増えてくるのではないかと思ってはいるのですが。とにかくどんな素晴らしいことをやっても、皆さんが来てくれないことにはどうにもなりません。

健康カレンダー
■今後、取り組もうとしていることはありますか。

 最大の課題は、やはり救急の充実ですね。それと東日本大震災を受けて、災害対策にも力を入れなければと思っています。佐野市や消防本部と災害時の応急対策業務に関する基本合意書の締結などについて、今、話し合いを進めているところです。
 医師会病院に関しては、私たちが常に目標としてきた、下都賀郡市医師会病院が、地域医療再生計画のもと統合再編されることになり、栃木県医師会塩原温泉病院を除けば医師会病院として残るのは県内で、ここだけになってしまいます。佐野医師会病院は平成23年6月に開院50周年を迎えることができました。蓄えをを切り崩しながら運営するという厳しい状況ですが、何とか灯を消さないでがんばりたいと思っています。

行政と緊密な連携保つ
■健康づくりで特に訴えたいことがあればお話しください。

 とにかく健診を受けてほしいということです。佐野市には「市医」の制度があります。市医は伝染病が発生した時に陣頭指揮を執るというのが本来の役割なのですが、現在は伝染病もあまり問題にならなくなりましたので、この制度を生かして、市と医師会とのパイプ役をお願いしています。毎月1回、会合を開いてさまざまな問題解決に取り組んでおり、おかげで行政とは意思疎通がうまくいっています。こうした体制を通して受診率向上を市民に呼びかけているのですが、暮らしやすい土地柄なのでのんびりしているのでしょうか、なかなか効果が表れません。
 もう一つ市民向けに行っている活動が地域保健協議会です。この協議会は昔は県内各地にありました。現在は地域活動推進協議会に名を変えて全県レベルの事業に取り組んでいますが、この地域ではそのまま残したのです。産婦人科の先生に協力していただいて、毎年、中学2年生を対象に性教育などを実施しています。また、季節の健康情報を盛り込んだ「健康カレンダー」の作製なども行っています。

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