南那須医師会 阿久津 和夫 会長

那須南病院と緊密に連携

会員が40人足らずの南那須医師会。高齢の会員も少なくないが、
地域の中核病院である那須南病院と緊密な連携を保ちながら、地域医療を支えている。
米寿を過ぎてなお現役の阿久津和夫会長は、豊かな経験を活かして会を牽引する。

阿久津和夫会長
病診連携を常に実践
■南那須医師会の活動内容など、概要をご紹介ください。

 エリアは那須烏山市と那珂川町です。会員は平成23年12月で39人です。登録していても仕事をしていなかったり、長期に入院されている人もいて、1次救急に従事している開業医は22人。そのほかに勤務している先生方がいます。
 活動としては、まず、1次救急体制に参加しています。あとは医師会は学術団体だと思っていますので、診療所の先生と、この地域の中核病院である那須南病院の先生が一緒になって、毎月1回、学術講演会を開いています。
 その際には、開業医の先生が病院に患者を頼んだ場合に、その後どう診察し、判断し治療したかを確認するという時間が取ってあります。ただ単に教授の話を聞くというものではないのです。この活動は那須南病院ができてから間もなく始まりましたので、もう15年くらいは続いています。

■病診連携が発揮されているのですね。そのほか会としての活動は何かありますか。

 会長レポートというものを発行しています。随時発行の形で年に10回くらい出して、15〜16年になりますので、200号近くになります。会長レポートですから、機関紙のように単にお知らせするということでなく、私の意見を述べて会員の皆さんからも意見を募るというようなことをやっています。もちろん総会の報告や、県からの要請などがあれば載せたりしています。

南那須地区総合健康管理センター
地域を挙げて医療守る
■会長さんの経歴を教えていただけますか。

 烏山の生まれで旧制高校の二高から新潟大学に進みました。卒業後は10年ほど大学にいて、こちらに戻って開業しました。50年以上になりますね。南那須医師会長は平成元年からやらせてもらっています。これだけ長くやれたのは、一つには会員に優秀な人が多いからです。例えば副会長は旧馬頭町の町長を3期務めた白寄暹すすむさん。非常に力強い思いです。

■そうした立場から見てこの地方の医療の事情はどのように映りますか。

 医師会員の人たちはもちろん、広域行政にしても消防にしても、皆さん一生懸命にやってくれています。特に那須南病院と医師会は密接な関係を築いています。病院は関口忠司院長、宮澤保春副院長を中心にとてもよくまとまっています。2人とも職員や地域の人たちから尊敬を集めていますね。そうして地域の健康を一生懸命守っていただいていると思います。
 医師会としては、ワクチンの接種や産業医など、どこでもやっていることには、人数が少ない中でも一通り取り組んでいます。1次救急に参加している22人のうち、80歳以上の人が私も含めて4人います。そうせざるを得ないのですが、こういう医師会はほかにないかもしれませんね。元気なうちはやりますよ。

那須南病院
地域貢献活動も手がける
■そういう意気込みに支えられて、地域住民の健康が守られているのですね。

 不十分ではあると思いますがね。地元出身で医学の道に進まれる人もそう多くはないと思いますが、もしいらっしゃればぜひ戻ってほしいところです。
 地域密着といえば、烏山署管内の犯罪被害者救済の会を支援しています。これは私が長い間、警察医をやっていた関係からです。また山あげ祭に寄付をしたり、皆さん学校医を務めていますので、学校保健会の運営にも協力しています。ささやかでも地元と一緒に取り組まなければと思っています。

■健康面で地域の皆さんに呼びかけているようなことはありますか。

 那須南病院の関口院長先生が大変熱心にやってくれています。今回の大震災で放射能の問題が起きた時には、那珂川町の会場でその講演会を行いました。そうしたことは今後も手がけたいとは思いますが、テレビなどでも健康教育はいろいろやっていて、参加されるのは普段からそういうものを見ている関心の高い人たちなのです。さらに、どこかの場所に出て来ていただかなくてはなりませんので、交通の便なども問題です。講演会などをやるのは、医師会と地域の人とのかかわりという点でとても大切だと思いますが、地方になると難しい面も出てきますね。

若い医師たちの力に期待
■県民全体の健康に関してはどのように考えますか。

 先日、医療連携についての会議に出席してきました。パソコンなどを使って、クリティカルパスなどが普及していくことでこれから県内の医療も変わっていくのだと思いました。大変ですが、われわれの仕事も時代の流れに追いついていかなくてはなりませんね。

■今後の課題を挙げていただくとするとどんなところですか。

 医師の高齢化が大きな課題です。ただ、この地域には国保診療所が2カ所あるのですが、そこへ来た2人の先生たちは若いのです。そのうちの1人に「どうしてここに来たの」と聞いたら、パソコンで調べて、「ここなら自分に合う土地だと思って来た」と言うのです。どこが合うと思ったのかを聞くと、「畑仕事がしたいと思っていたので、できるかどうか聞いたら、いくらでもやらせてくれるとのことだったので」と話していました。今はそんなこともパソコンで調べられるんですねえ。

■地元の人ではないのですね。

 2人とも違います。しかし、今ではわが医師会の強力な会員となっています。勉強熱心だし、会合にもきちんと出席してくれています。大変うれしいことです。
 それから那須南病院もよくやってくれています。病院には医師会から運営委員が4人出て、いろいろな意見交換を行っていますが、本当に関口先生たちには感謝の気持ちでいっぱいです。


このページの先頭へ